春を迎えに

雲を削った白い欠片が
アスファルトに落ちて溶けた
血の気の無いステンレスと
コンクリートが季節を拒む

見下ろす街は灰色の錆び
固く冷たくどこまで続く
見に行きたくて
飛び立ちたくて
でもこのビルの窓は開かない

風が雲をほどいて行く
差し込む光に身体が疼く
待ちわびた予感が来る
その鼓動で冬化粧が
ひび割れたら

飛んで行くよ
飛んで行くよ
垂れ込める雲低くかすめて
北風に逆らって
春を迎えに

時計仕掛けの眠らない森
空を削ってどこまで伸びる?
次の季節がやって来る
ショーウィンドウからやって来る

立ち止まると追い越す風に
蒸れた空気がかすかに混ざる
風の住処知りたくて
その匂いを鼻の先に
捕えたなら

飛んで行くよ
飛んで行くよ
目を閉じてほら
空が緩んだその音に誘われて
春を迎えに

ほほをかすめた白い欠片が
風に巻かれて空へと昇る
足を止めずに顔も上げずに
横目で春の訪れを知る


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