今夜の迷宮

通り雨が教えてくれた
君のカタチはみんなより
少し凹んでるんだね
水たまりが乾くまで
通り雨を忘れない

埋まらない 埋まらない

ぬかるみに足をとられ
歩きにくくてたまらない
耳は塞いでるんだね
ぐちゃぐちゃと音を立てる
濡れた靴を脱ぎなよ

埋まらない 埋まらない
埋まらない 埋められない
埋まんない つまんない…

埋め立てた場所は
長いクレーンや重機が
彷徨う影と聞こえるの
亡霊が笑うように 軋む音が

蹴っ飛ばしたカカトが痛い
寝返りうった壁際で
鈍い音がしたんだよ
戦いは終わりのない
迷宮入りのパズルだ

眠れない 眠れない

えぐり取った穴から漏れた
中途半端なまどろみの
中にPeaceはないから
責め立てる夜を入れる
次の蓋を開けなきゃ

眠れない 眠れない
埋まらない 埋められない
眠れない つまんない…

傷ついた場所を
手探りで確かめたら
生暖かな真実を 唇ですくって

ねぇ 干からびた
タマシイのルーペで覗いて
背けた目に映したもの
訳して教えてよ 口移しで


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漂流記〜Drifting note〜

あんたにとって どうでもいいことでしょうが
誰も私を知らない街に一人います

どうしてますか? そこから言葉は続かなくて
破ったメモで作った白い紙飛行機
占うようにフワリと遠くへ放ったなら
17階の窓からまっすぐ飛ぶと思った

どこまでも続く街 どれだけ歩いたって
私はただの通りすがり
今日は一人で海を見ていた
あんたにとって どうでもいいことでしょうが

薄紫の夕暮れこのまま波の音と
やさしいだけの歌をまだ聴いていたい
背中合わせで もたれたままでいてくれたら
心許して泣いてもいいと思うのにね

土砂降りの二車線を 孤独に走る先に
テールランプが赤く揺れる
追い越すのかついて行くのか
あんたにとって どうでもいいことでしょうが

流星の雨が降る 思い出をぶら下げて
たとえ私が星のように
朝の光に消えてしまっても
あんたを変えることは、できない。


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名も無きしるし

煙が昇ってく 小さな雲みたいな白い塊が離れてく
いびつな形をした風船みたいだった でも電線には捕まらなかった

生まれたのはいいけど 訳も分からないまま引き揚げられて行くのかな?
窓から見上げてた ガラスにほほ当てて その冷たさを覚えてる

列車は街を離れて行く 降り出す雨を振り切って

誰かの顔をした 君とすれ違う そんな感じさいつだって
振り向き追いかける だけど見失うんだ 雑踏の中うわの空

飛行機雲がにじんで行く 成層圏の入り口で

さっき掴んだ夢の尻尾 小さくちぎれてしぼんで行く
そこにいつも風が吹くこと 教えてくれたしるし

さよならいつまでも 横顔だけの君 残像は色褪せても
屈託ない笑顔を浮かべたよな気がした 季節はずれの服を着て

揺れたまんまで旅に出よう 行き先なんて決めてない

きっとどこかでまた会えるだろう 呼び止められない触れられない
思い出せない でも失くさない それは名も無きしるし


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ドロップス

小さな手を差し出して
一粒だけ受け止めた
甘くてキラキラ光る宝石だった
やがてテーブルに背が届いて
初めて一人で開けた

隠れてほおばる罪は 甘いドロップス
振れば音がする カラリコロリと

振り向いてくれたのは
したたかなオオカミ達
お願いよキラキラ光る羽をちょうだい
ズルをするたびに減っていった
もうすぐ空っぽだけど

儚くたくましい 蝶々みたいに
蜜だけで生きてやると誓った

蓋を開けるたび 飛んでいった
悩みも我慢もみんな でも…

訳知り顔した鳥がさえずる
最後に残った それは“罰”だと

パンドラの箱の中は 甘いドロップス
振れば音がする カラリコロリと
燃え盛る夜の火の粉みたいに
どこまでも昇れ 甘い夢たち


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アクアリウムの飛行船

涙を見た気がした
水槽の中 見えるはずのない
涙を見た気がした
真っ白な魚 知りたくはないかい?
水の外を泳いでみないか?

雨上がり ちぎれ雲連れて浮かぶ
星降る海を行く
オレンジの夕陽 紫の夜明け
からだを染めるだろう

ノドが乾くと泣いてた
水槽の中 乾くはずのない
ノドが乾くと泣いていた
真っ白な魚 どこにいてもね
いのちある限り 心は潤せる

水の中 はぐれ雲のように浮かぶ
波打つ空を行く
風まとい 光る泡を散らすのは
真っ白な飛行船

彗星が空を駆ける瞬間を
横目に大あくび
あるがまま 剥がれ落ちて光るのは
鱗のひとしずく


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月影

すりガラスに踊る光 隣のビルのネオン
腕の中ぼんやりと 聞いた街の音
二人きりの退屈を逃れる隠れ家
狭い部屋にしみついた夜にくるまり
焼けるような熱い肌に沈みながら呼んでみた
かすれる声 君の名がうまく出てこない

ビルのすき間に月 見失いそうな影を追うたびに
疲れ切って街角で座り込んで泣いていた
あの日と同じ月 見上げた裏通りの月影に
君の声が聞こえたような気がしたよ

探るような指先で手折れるほど弱くない
絡めながら解きながら深く隠して
窓に映る不規則な点滅を数えた
牙も無く横たわり眠る肩越し
独り夜の街を行けば今でも思うよ
臆病で空っぽな二人がいた場所

ビルのすき間に月 いつもよりも大きく見えたのに
届かない距離にとまどって泣いていた
あの日と同じ月 光と光 影と影と影
君の声に呼ばれたような気がした

ビルのすき間に月 見失いそうな影を追うたびに
疲れ切って街角で座り込んで泣いていた
あの日と同じ月 今さら話すことなどないのに
君の声が あの声が聞きたいな


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風がつよいね

行き交う車を眺めて
知らない人達とすれ違う
古い靴屋と花屋の間に
おととい生まれた 陽当たりのいい空き地

打ち明け話に良く似た空白
でも今日の街は
風がつよいね さっきの 嘘だね
いつかボロ出す前に忘れてあげるよ

とどまることない時間の
果てなど見ることもないけど
道端で小さく鳴くから
そっと抱き上げ連れ帰った遠い日の

立ち入り禁止のフェンスが揺れてる
ああ今日も街は
風がつよいね あの日の嘘なら
ちゃんと繋いでこの胸に飼ってる

吹くのは向かい風 それとも追い風
ああ今日の街は
風がつよいね あの日の嘘なら
ちゃんと繋いでこの胸に飼ってる

今も繋いでこの胸に飼ってる
この胸に飼ってる


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何度でも

売ってしまったはずのあの本が
古いカバンから出てきたの
不思議なことがあるものね
持ってなさいって神様が言ってるのね

本当だね不思議だね
もうなんべんも聞いたけど

何度でも
何度でも
忘れられないその話
一緒に忘れずいてあげる

ある日街角で占い師が呼び止めて
あたしのあの人にこう言ったのよ
「あんた、この娘を大事にしなさいよ
何があっても離しちゃいけない」と

誇らしげな澄まし顔に
もうなんべんも笑ったけど

何度でも
何度でも
忘れられないその言葉
一緒に覚えていてあげる


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空の子

前髪からのぞくその目に
涙ためて何を見てるの?
いいことも悪いことも
みんな上から振ってくる

雲のかたち 夕焼けの色 虹のゆくえ 月の顔色

赤から青へ 青から赤へ
渡らないまま信号の下で
いい人も悪い人も
時の流れが裏返す

雲のかたち 夕焼けの色 虹のゆくえ 月の顔色

見送ったのか 待っているのか
足を止めて何を見てるの?
その向こうにいつもあるのに
おしゃべりな彼らがしゃしゃり出る

雲のかたち 夕焼けの色 虹のゆくえ 月の顔色

昨日 今日 明日
いつも いつでも いつまでも
ただただ風は黙って吹いて
睫毛乾かし 産毛をなでる

雲のかたち 夕焼けの色 虹のゆくえ 月の顔色


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大丈夫

果てしなく広がる草原で
姿なき風に吹かれて歩く
いつも隣にいてくれるね
これからも長い旅は続く
心細くて振り返ると
うなづいて道を教えてくれる
先を歩いて行く背中の
幻の先に海が見えた

涙は知っていた
たどりつく場所を
嵐の後の静かな波を光が照らすよ

今 消えそうな灯を
両手でかばい合いながら さあ…
心配いらないよ大丈夫だと
送り送られて行く

奇跡のような交差点で
出逢えた一番大事なもの
奪おうとするこのいたずら
嘆きさえ海の泡になった
耳をすまして風を聞けば
近くで確かに聞こえてくる
共に紡いだ歌の続き
優しい言葉でつないで行こう

誰かが言ってた
役割があると
誰にでも果たすべき役割があると

今 消えそうな灯を
両手でかばい合いながら さあ…
心配いらないよ大丈夫だと
送り送られて行く

生まれた時から
いいえ
生まれることから
誰かが決めた逃れられない運命があると

でも 願わずにいられない
通い合う心がいつも見守るから
心配いらないよ大丈夫だと
送り送られたなら…

ありがとう
私は大丈夫だと
送り送られて行く


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